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あなたはこうやってラーメン店に失敗する
開業前
社会に出て７年を過ぎたた頃の春、会社で働いていて組織に縛られて自分の思い通りに仕事が進められないことに苛立ちを感じることが出始める時期です。そして少しずつ「自分の裁量で仕事を決められる」独立開業を考えるようになるのです。それはあなただけではなく誰でもそうなのです。あなたの同年代の違う人は「給料が労働時間に比べて割に合わない」と思っていますし、「いっそのこと独立して自分で経営したほうが収入が増える」と考えるのです。また違う人は働く時間を自由に決められる自営業に憧れて独立を考えるでしょう。独立を考えるきっかけは人それぞれです。そして考えること自体は自由です。しかし独立するにはお金がかかります。資金がなければなにも始まらないのです。何年もかけて貯めた資金は重みがあります。その重みは年数が長ければ長いほど増していきます。独立の意志の強さが表れるからです。しかしもし自分で貯めた資金でないならその資金は重みがありませんからすぐに飛んで行ってしまうでしょう。資金は自分で貯めたお金に限るということですね。それがないならその時点で独立に失敗してしまうからです。。
余程多くの報酬を得ている人でなければ独立に必要な資金を全て貯めることは不可能です。
ほとんどの人が自分で貯めた資金以外に開業資金を銀行などからの借り入れに頼ることになります。
もし開業資金が全て揃うまで独立を我慢するならそれも失敗するでしょう。
年数が過ぎてしまって精神的体力的にピークを越えてしまうからです。
これは実年令ではありません。独立への思い入れに対する年数ということです。20歳代であろうが40歳代であろうが関係ありません。年数は三年くらいが限度なのです。
独立には自分で貯めた資金以外に借入金を得ることも必要ですが、最初に考えるのが身内からの借り入れです。
例えば親であったり兄弟姉妹であったり、つまり親類にあたる人たちに借金を申し入れるようにするのです。
ここがポイントです。親類といっても親密さはいろいろです。数年に一度会うくらいの親類から、一年に数回は必ず会う親類までいろいろいるでしょう。そのような関係の中で借金を申し込むのですから薄い親密さの親類に申し込めるはずはありません。日頃から濃い親密さの親類にお願いするに決まっているのです。
しかしいくら普段から親しくしている親類でも借金をお願いされるのを喜ぶ人はいません。今、あなたがやろうとしていることは必ず成功するとは決まっていないからです。親しくしていられるのはあくまでお互いの利害関係がないことが前提です。万が一でも失敗したなら損失が自分にまで及ぶとなるとほとんどの人は腰を引くでしょう。それが親類です。血縁関係のない友人であるなら責任を負う範囲は限られてきますが、親類であるだけに「無制限に責任を負うことになるかもしれない」という不安が沸き上がるのです。それだけに余計借金を引き受けることができないものです。借金を申し込むなら今までの親密さを失う覚悟を持つことが必要となります。その覚悟が持てないなら申し込むべきではありません。そこを強行してしまうと独立は失敗するでしょう。
仮に、運良く親類が資金を貸すことを了承してくれたとします。しかしそれでも安心してはいけません。実際にお金を手にするまでは安心してはいけないのです。それは了承をしてから実行するまでの間に親類の心が揺れるからです。金額は十万や二十万円ではありません。数百万円単位なのです。あなたに貸す数百万円はその親類がやっとの思いで蓄えたお金です。親類はラーメン店という業種について、脱サラが成功するかどうかについて、必ず調べます。知り合いの銀行の人に尋ねるかもしれません。または知り合いの知り合いがラーメン店をやっている友人に聞くかもしれません。調べれば調べるほど不安材料が多いことを知ってしまうのです。
親類の人は一旦了承したあとでも日数が経てば経つほど不安が強くなっていきます。そしていろいろな質問をあなたにしてくるのです。仮にあなたが質問に完璧に答えられたとしても不安は決してなくなることはありません。そしてついに断りの電話をしてくるのです。
あなたはその頃は借り入れが行われることを前提に話を進めていますし、物件も決まりあとは保証金を入れるだけの段階かもしれません。または内装の工事がはじまっているかもしれません。そのような段階で断られてもあなたは困るだけです。親類との親密さはなくなっているでしょう。
ここで借金を申し込む相手は「お金が返ってこなくても諦める余裕や度量」がある人にしかしてはいけません。もしそのような人があなたの周りにいないのにラーメン屋をはじめようと考えるならあなたは失敗することになります。
金融機関に借り入れを申し込むとしても同様です。あなたに資産があるのなら問題はありません。しかしそうでないなら親類に借金を申し込むのと同じことです。金融機関はあなたの保証人になる人を求めてきます。保証人はやはり親、兄弟姉妹にお願いすることになります。そうなると同じ結果となるのです。