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ラーメン店経営で失敗しないために


ラーメン店で独立を考えるときあなたが独身であるなら高い確率で失敗するでしょう。
ラーメン店は人海戦術の仕事です。あなたにはあなたと同じくらいの強い気持ちでラーメン店を開業することを考えている生計をともにしているパートナーが必要なのです。そう!「生計をともにしていること」が必須の条件となるのです。
あなたが「仲のよい友人知人と組んでもうまくいく」と考えているならそれも高い確率で失敗するでしょう。仮に「生計をともにしていないパートナー」が見つかって、しかもそのパートナーがあなたと同じくらいの資金を用意できるとしたなら「生計をともにするパートナー」より成功する確率が高いはず、と考えてはいけません。利益の分配で仲違いするからです。たくさん儲かっているときは揉めることはありません。しかし売上げが減少して利益が減ったときに揉めるのが必定です。それは突然揉めるのではありません。利益の減少とともに不満が少しずつお互いの心の中に澱となって溜まってくるのです。そしてなにかのきっかけでそれは爆発します。資金は自分一人で用意するのが基本なのです。
どうしても生計をともにしていないパートナーと開業せざるを得ない場合ですが、そのパートナーとの上下関係も大切な要素となります。対等な立場は失敗する確率が最も高い関係なのです。パートナーとは開業する時点ですでに上下関係が決まっている関係がベストとなります。心の中に溜まる澱の量が違ってくるからです。例えばパートナーが学生時代の後輩ならそれまでの間に先輩に対する服従心ができあがっていますので澱はほとんど溜まらないでしょう。パートナーが「生計をともにしていない」相手なら後輩が一番理想的な相手となります。しかしそれも三年が限界です。遅くとも三年の間にラーメン店という商売を企業にしていなければいけません。それができないなら次のようなことが起こるのです。
先輩ですから後輩にいろいろなことをやらせます。先輩は偉い立場ですから辛い面倒な仕事を後輩にやらせて自分は楽な仕事をします。例えば後輩が寸胴を洗って床を磨いているときに先輩は椅子に座って一日の売上げを計算しています。または後輩が必死に仕込みをやっている間に誰かと長電話をしています。後輩は三年間はこうした不公平感もそれまでの上下関係がありますので当然のように思って不満も感じないでしょう。ところが後輩がたまたま昔の友だちと会って今の仕事について話しているときその友だちが言うのです。
「おい、なにかおかしくないか? おまえばっかり損してるのでは?」
友だちの何気ない言葉が後輩の心を揺さぶるでしょう。そして少しずつ澱が溜まるようになります。その時期が三年後くらいです。こうなると後輩が爆発するのは時間の問題となるのです。
これは会社の元上司部下の関係においても同じです。会社の元上司部下の関係の場合は爆発するまでの時間がもっと短くなります。上司部下という関係は会社という多くの社員がいる組織内のことでしか通用しないからです。ラーメン店という小さな世界ではすぐに壊れてしまいます。それは息抜きする空間も時間もとれないからです。
パートナーが「生計をともにしている」相手であることは必須条件です。
「生計をともにしている」パートナーと言えば多くの場合は配偶者になります。それ以外となると一緒に生活している親、もしくは兄弟姉妹です。親をパートナーにする場合は年令が問題となります。親はあなたより二十五才くらい上の年令です。身体が続かないでしょう。もしあなたが優しい性格で親の分まで働くとしても無理があります。
「ラーメン店は人海戦術の仕事である」と書きましたが、親をパートナーにした場合は先々で人海戦術ができなくなります。
ラーメン店が一番混雑するお昼時を想像してみるといいでしょう。いっぺんに多くのお客さんが入ってきてたくさんの人が同時に注文することなど日常茶飯事です。そのときあなたは注文をとりながら調理をしながらお会計もすることは不可能です。これらの仕事のうちいくつかはパートナーに担当してもらう必要があるのです。もし自分ひとりでやるなら注文を受けてからラーメンを出すまでに長い時間がかかってしまいます。それではお客さんが満足するはずもありません。そうなると二度と店にはこないでしょう。そうなるとあなたは親に向かって怒るはずです。
「なんでちゃんとできないんだ!」
パートナーが親より若い兄弟姉妹なら人海戦術はできます。しかしラーメン店を開業するという強い意志があるかどうかが問題となります。ラーメン店は時間に縛られる仕事です。自分の自由な時間が少なくなることは必ずストレスの原因になるのです。もしかすると「少なくなる」だけでは済まず「なくなる」可能性もあります。強い意志がないなら若い男性女性には苦痛となることは容易に想像できるのです。
もしラーメン店を続ける強い意志があったとしても問題はあります。それは結婚です。結婚した時点で「生計をともにした」パートナーではなくなるのです。もし兄弟であれば一家を支えるだけの収入が必要となるでしょう。そうなると先ほど書きました「友人・知人」と同じ結果となります。姉妹であればパートさんと同じ就業条件となります。パートさんは家庭の都合を優先させます。店で働ける時間は少なくなりパートナーに相応しい働きを求めることはできなくなるのです。